生物多様性条約のこれまでの経過

COP9

平成20年6月3日

生物多様性条約第9回締約国会議の開催について(結果概要)

 生物多様性条約(CBD)第9回締約国会議(COP9)が2008年5月19日(月)〜30日(金)の日程で、ボン(ドイツ)にて開催され、約170ヶ国の締約国及び関連機関等から約7,000人以上が参加しました。我が国からは、外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省が出席、また、並行して5月28日から30日まで閣僚級会合が開かれ、30日には鴨下一郎環境大臣が出席しました。
今回の会議においては、「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という目標(「2010年目標」(COP6にて採択され、ヨハネスブルグ・サミットの実施計画にも盛り込まれた目標)の達成に向け、各課題の進捗状況及び今後の取組強化の方向性について議論されました。
主な成果としては、2010年目標を含む条約戦略計画の見直しプロセスに関する決定、バイオ燃料を含む農業、森林、海洋等各生態系における生物多様性の保全及び持続可能な利用に係る決定の採択、2009−2010年運営予算の決定等が行われました。
なお、5月30日の全体会合では、次回COP10を愛知県名古屋市において2010年10月に開催することが満場一致で決定されました。

1.開催期間・場所

2008年5月19日(月)〜30日(金)(於:ボン(ドイツ))
(閣僚級会合は28日〜30日に開催)

2.参加者

締約国191ヶ国(近く締結予定のブルネイを含む)、国連環境計画等関連する国際機関、先住民代表、市民団体等。

3.我が国からの参加者

我が国政府代表団として、環境省、外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省等の担当者が参加した。神田愛知県知事、松原名古屋市長に加え、岡田名古屋商工会議所会頭と川口中部経済連合会会長をはじめとするCOP10誘致委員会も参加。また、オブザーバーとして、経団連自然保護協議会の他いくつかの企業、WWFジャパン、NACS−JなどのNGO等が参加。

4.閣僚級会合

COP議長国(独政府)主催で、5月28日〜30日にCOP9閣僚級会合(ハイレベルセグメント)が開催され、我が国からは鴨下環境大臣が30日の会合に出席し、5月24日〜26日に神戸で開催されたG8環境大臣会合の成果としての「生物多様性のための行動の呼びかけ」や、それを受けた日本の取組、また、生物多様性基本法の成立等について紹介した。

5.主な成果

○条約戦略計画の見直し
2010年目標を含む戦略計画の見直し及びポスト2010年目標の設定に向けた検討スケジュールとして、2010年までに作業部会を1回、科学技術助言補助機関(SBSTTA)を1回開催すると共に、並行して2010年目標の達成状況を評価するための地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)を2010年5月に公表することで合意された。
○遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)
2010年までに検討作業を完了することとされている国際的枠組みについては、今後の作業部会、専門家会合をそれぞれ3回開催することやその検討内容など、2010年までの具体的な検討の進め方が決議された。
また、その検討は、法的拘束力のあるもの、無いもの、または、その複合したもののどのようなものとするか、事前に予断することなく議論を行うこととされた。
○バイオ燃料と生物多様性
バイオ燃料については、生物多様性や地域コミュニティに対するバイオ燃料の生産と利用の正の影響を促進し負の影響を最小化する必要があること、各締約国や関係機関に対しその適切な政策フレームワークの作成を奨励すること、これを促進するための地域ワークショップの開催を事務局に要請すること等が決定された。
○森林の生物多様性
森林については、持続可能な森林管理とエコシステム・アプローチによる作業計画の取組強化の必要性が確認されるとともに、違法伐採対策や保護地域の保全、遺伝子組換え樹木の慎重なリスク・アセスメントなどに取り組んでいくこととされた。
○海洋及び沿岸の生物多様性
生態的及び生物学的に重要で保護が必要な海域の特定のための科学的クライテリア等を採択し、今後、科学技術専門家会合を開催して、FAOやIMO等の専門機関とともに、当該クライテリアを用いた環境評価および保護海域特定のためのガイダンスを策定することが決定された。
○気候変動と生物多様性
生物多様性と気候変動については、気候変動枠組み条約における種々の検討作業への生物多様性条約からのインプットの内容等について検討を行うための専門家グループを設置することが決まった。
○他機関との協力
「都市と生物多様性市長会議」(注:名古屋市長がメンバーになっている。)から締約国会議への提言を受け、生物多様性国家戦略において都市及び地方自治体の役割を位置付けることを奨励すること等を内容とする、都市及び地方自治体と生物多様性についての初めての決定がなされた。
○2009年−2010年の2箇年運営予算
我が国は、CBDの運営予算総額の最大拠出国であり、義務的拠出金総額の22%を負担している。米ドルのカナダドル(注:CBD事務局はカナダ所在)に対する急激な減価に起因し2008年予算に赤字が生じる見込みという厳しい状況の下、政策決定事項の着実な実施と事務局の効率的な運営を促進するため、厳格な優先順位付けに基づき予算審議を行った結果、2009年予算は11,391,900米ドル、2010年予算は12,355,100ドル(2箇年合計23,747,000ドル(前期比名目6.0%増:UNEPによるプログラムサポートコスト(13%)及び80万ドルの2008年赤字補填分を含む。)とすることがコンセンサスにより決定された。我が国の分担金額は、2箇年合計4,830,556ドル。

我が国は、愛知県名古屋市における2010年COP10開催を視野に、各議題における議論に積極的に参加・貢献するとともに、ABS専門家会合のホスト、ABS作業部会開催支援(5万ドル)、国際生物多様性年(2010年)に向けたアウトリーチ活動(10万ドル)、地球規模生物多様性概況第3版出版支援(10万ドル)に対する財政支援を表明。これらは、他の締約国から高い評価を得た。

鴨下環境大臣からは、5月24〜26日に神戸で開催したG8環境大臣会合の成果や、それを受けた日本の取組、生物多様性基本法の成立等の我が国の取組みを閣僚級会合において発表するとともに、2010年COP10の名古屋開催決定を受けて、次期COP議長国として現在の議長国である独と協力しつつ、2010年目標の達成に向けた努力を加速していくことを約した。他の締約国からは、我が国におけるCOP10開催決定に歓迎の意が表されるとともに、我が国のリーダーシップに対する期待の声が寄せられた。

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