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地域をデザインする.jpg (175789 バイト) 「地域をデザインする」(新評論)
持続可能な地域デザインに関する手法をわかりやすい言葉で。

政策提言

持続可能社会構築のための基礎コンテンツ

持続可能な地域を構築するための地方自治推進に関する政策提言
−−−岐阜発、地域からのカクメイ、いきさつとあとがき-----
NPO法人地球の未来 理事長 駒宮博男

《いきさつ》

昨今、地方自治推進が中央からも地方からも叫ばれていますが、一向に成果は見られておりません。
 霞ヶ関からの改革が困難なことは当然と言えますが、地方においても、真の地方自治、住民自治が正しく理解されているとは言えず、地方自治推進の意志が未だ希薄であると言えます。その原因は、長きに渡った中央集権制度により、地方が強い官依存性に支配されている為であると考えられます。
 こうした状況とは裏腹に、ここ1年程で、地域コミュニティーに画期的な動きが出て参りました。財政破綻、市町村合併、地域経済の疲弊等という危機を感じた地域の人々が、自ら立ち上がり、様々な形で住民自治を模索し始めています。そして、徐々にではありますが、ようやく社会の中核的トレンドになりつつある『持続可能性』を希求する動きが全国の各地で共時的に発生しつつあります。
 このような流れの中で、昨年の春、以前より内部で醸成した議論を一つの形にまとめて世に問おうという動きが法人内部で持ち上がりました。国家財政、経済の概略的分析、岐阜県内の旧99市町村の財政分析、人口予測、農地、林地等の資源分析等々、持続性に関する多角的な分析を、手法の模索からデータ収集、分析という順序でこなすには、会員の皆様、そして当法人の母体であるG-caféのメンバーの方々の多大な協力が必要でした。
 2003年6月の定時総会時に何とか間に合わせた提言は、文章化されたものではなく、エクセルで作成した箇条書きや表形式のものでした。その後7月〜8月にかけて、様々な会合での発表を経て、ようやく今年1月に文章化が終わりましたが、未だに書き足りないところ、不備な点等、気になる個所は多々あります。
 しかしながら、拙速ではあっても、今、我々の提言を世に問うことの価値は大であるとの判断で、公表することと致しました。当初は『家内制手工業』的に製本し、少しずつ関係の方々に配布させて頂いておりましたが、かなりの部数が出たため、今回印刷する運びとなりました。
 尚、今回の配布版は、『2004年7月版』ということで、今後随時ブラッシュアップしていく所存です。
 是非ご一読いただき、忌憚の無いご意見を頂戴できれば幸いです。 

《経過》


2003年

 


2004年


2005年

特定非営利活動法人地球の未来、県庁内自主研究グループ『飛騨美濃千年持続社会をつくる会』
等が中心となり政策提言作

6月 6/28 特定非営利活動法人地球の未来定時総会で発表
7/5  『地域デザインフォーラム』(ぎふNPOセンター主催)で発表
7/8  協働委員会(岐阜県)で発表
8/10 NPOシンポジウム(岐阜県主催、ぎふNPOセンター企画運営)で発表
12月 原稿執筆


1月 『家内制手工業』的に製本開始
1〜2月 コミュニティー研修会(岐阜県主催、ぎふNPOセンター企画運営)で配布
4月以降 名古屋大学大学院環境学研究科で当提言を教科書に採用(高野、駒宮、樋口が講義)
8月 長野県職員研修で駒宮が講演(テキストに採用)
9月 岐阜県職員研修(協働事業推進士研修)で駒宮が講演(テキストに採用)
12月 秋田県行政職員・NPO研修で駒宮が講演(一部テキストに採用)


2
月 四県合同研修で駒宮が講演予定(テキストとして採用)
後期 名城大学大学院経営学研究科で講義予定(駒宮が客員講師として講義、テキストに採用予定)

《あとがき》

 

6月   2003年末より参加させて頂いている、東海3県を中心とした『環境サポートセンター』立ち上げの準備会が、2004年7月、ようやく正式に組織化することとなりました。この組織のそもそもの発端は、環境系のNPO等の支援センターを作ろうと言うものでしたが、数回にわたるワークショップを経て、『総合的地域デザインサポートセンター』というコンセプトが決定されました。12月、ようやく準備が整い、『NPO法人地域の未来・志援センター』として、認証申請にこぎつけました。
 準備会のメンバーの多くは、「環境問題は持続不能問題の一部に過ぎない」、「最終的な理念(ミッション)は、あくまでも持続可能なまち(地域)を如何に構築していくか」であるという点で共通の価値尺度を持っていたようです。そして、持続可能な地域のモデルは決して一つではなく、地域ごとに創発すべきものである点でも一致した意見を持つことが出来ました。
 持続可能な地域の構築を目指した動きは、全国の、『遠く』、『小さく』、そして、『弱い』ところから、どんどん起こっています。岐阜県周辺を例に取れば、岐阜県旧山岡町、上石津町、旧高鷲村、旧白鳥町石徹白、旧大和町、旧和良村、旧武芸川町寺尾、加子母村、福岡町、・・・・・・愛知県豊根村、長野県栄村、泰阜村等々、数え上げたら切りがありませんが、その殆どが県庁所在地から遠く離れた人口密度の低い、いわゆる過疎の町村です。
 もし、私たちが本気で持続可能社会構築を目指すなら、これら過疎の町村(コミュニティー)の自立・再生を第一義的に考える必要があります。提言中に述べましたように、21世紀、日本に残された本源的な自然資源は森林、田圃、そして河川です。そして、これらの資源が存在する場所は、過疎のコミュニティー周辺です。
 江戸時代以前に戻れなどという気はさらさら有りませんが、コミュニティーが『ヒト生態系』であった持続可能な時代には多大なヒントがあります。過去の文化(生活様式)的遺産をすっぱり捨ててしまうのは、賢い選択ではありません。現代の技術と過去の持続可能な文化を如何に融合させるかが、地域再生の重要な視点になることでしょう。
 そのような意味で、この政策提言が、地域を自律的に再生しようとしている地域の方々にお読みいただければ幸いです。
 尚、出版に際して、図表の作成、製本技術に関して恵那の広瀬竹男氏にご指導いただきました。改めて御礼申し上げます。
    

2005年1月
 特定非営利活動法人 地球の未来
  理事長 駒宮博男